カオニャオダム・ピヤック・プアクข้าวเหนียวดำเปียกเผือก。とろみをつけた塩味のココナ
ッツミルクを添えて
タイ菓子の本の目次を見ると、焼き菓子、蒸し菓子、煉り菓子と調理方法で分けられていることが多いのですが、鍋菓子(カノム・モー)やバット菓子(カノム・タート)と、調理器具というか容器で分類することもあります。
屋台やフードコートのタイ菓子コーナーに、鍋をずらりと並べている店があったら、それはおそらく鍋菓子の店。アルミやステンレス製の鍋が多いなか、コロンとした昔ながらの丸い素焼きの鍋モー・ディンを見つけるとつい引き寄せられてしまいます。
鍋菓子はたいてい、煮たりゆでたりした流動体のお菓子で、多くは昔から愛されてきた庶民的な食べ物です。緑豆を煮てとろみをつけた温かいデザートのタオスアン、カボチャなどのココナッツミルク煮ゲーンブアット、龍眼ともち米のおかゆカオニャオ・ピヤック・ラムヤイ、ココナッツミルクに浮かぶ白玉団子ブアローイも鍋菓子の仲間です。
カオニャオダム・ピヤック・プアクは黒もち米を甘く炊いたおかゆで、鍋菓子の定番メニューのひとつ。主な材料は黒もち米ですが、黒米だけではとろみが足りないため、3対1くらいの割合で白いもち米を混ぜることが多いようです。1〜2時間水に浸けておいた2種類のもち米を、水やココナッツジュースで煮て、タロイモを加えて火を通し、砂糖で甘味をつけて出来上がりと作り方はシンプルです。
かゆ状に煮ているとはいえ、黒米はプチプチとした食感で、タロイモはねっとり。とろり、プチプチ、ねっとりと舌触りが重奏的で、見た目より変化に富んでいるのが、黒米の香りとともに魅力です。お好みでとろみのあるココナッツミルクをかけていただくのですが、このソース、軽い塩味なのです。コクと深みが加わるとともに、塩味がアクセントになって飽きずに食べることができるからと、お店の人に勧められて口に入れた初回の一口は、正直、違和感を覚えましたがあれから幾星霜、今や半分くらい食べすすむとココナッツミルクに手が伸びるようになりました。
黒もち米カオニャオダムは白いもち米より粒が大きめ。鉄分が豊富で栄養価も高い