そのランタナの花をかたどったお菓子がカノム・パガーグローン。外側は小麦粉をココナッツミルクで煉った、しっとりとしてなめらかな生地で、それに餡を包み、ネープ・チョームアンというピンセットのような製菓道具で表面を少しずつつまんで、花びらを表現しています。
餡はタイでお馴染みの緑豆製。外側の生地と同様にココナッツミルクで煉っていますが、内側も外側もココナッツミルクの香りは控えめで、和菓子の煉り切りやこなしにも似たまろやかな舌触りとクセのない上品な甘さが特徴です。
世に出て10年に満たない新しいタイ菓子ということもあるのか、餡の材料が多様で、一般的な緑豆餡以外にサツマイモやムラサキイモ、タロイモなどのイモ餡がある他、卵黄をシロップで煮たお菓子トーンヨートを包むバリエーションもあるそうです。材料の異なる餡は、味わいのみならず色も多彩で、花びらの根元から透けて見える餡の色合いもまた、愉しみのひとつです。
カノム・パガーグローンは上生菓子のような味わいですし、見た目も華やかなので、おせちにも合いそうです。口取りとして黒豆や栗きんとんとお重に詰めて、和タイ折衷のおせちにするのも一興。緑豆餡の材料である皮を除いた黄色い緑豆は、タイ語でトゥア・トーン(金豆)ですから、新年を寿ぐめでたさも合格ですね。