タイのお菓子は二度おいしい
連載
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ロッチョン タイ
パンダン香る米粉のロッチョンを
ヤシ糖とココナッツミルクの
シロップで
パンダンの葉のしぼり汁で煉った米粉の菓子ロッチョン タイ(ลอดช่องไทย)。コクのあるココナッツミルクシロップをかけ砕いた氷をのせていただく。左はパンダンの葉
タイにはロッチョンと名のつくデザートが2種類あります。ひとつはロッチョンタイ、もうひとつがロッチョンシンガポールです。前者は米粉が主材料で、舌先でつぶれるほどの柔らかさ。後者はタピオカ粉製でつるりとした食感です。

ロッチョンタイといったらコレとタイの人たちが推すのがワットジェート(วัดเจษฯ)で、サムットサーコーン県マハーチャイの有名店です。成分表を見ると、パンダンの葉40%、米粉30%…パンダンが米粉より多いとは驚きました。ワットジェート製はパンダンの香り(やや甘く、ご飯の炊ける匂いにも似ているような気がします)が濃いわけです
ロッチョンタイを押し出す道具 ピムロッチョンพิมพ์ลอดช่อง。
ティーゴットロッチョンที่กดลอดช่องともいう
そのパンダンの葉を刻み少量の水とミキサーにかけて濾しておきます。米粉類にナームプンサイ*(石灰水の上澄み液)とパンダンの汁を加えて、火にかけながら練り、穴を穿った容器に入れて押し出し、水にとったものがロッチョンタイで、コクと旨味のあるヤシ糖とココナッツミルクを合わせた濃厚なシロップをかけていただきます。

一方、シンガポールのほうは、タピオカ粉をこねてゆで、グラニュー糖を加えたココナッツミルクシロップに入れて、たいていはコップで提供されます。シンガポールという名前の由来は、かつて存在したシンガポールという名の映画館の前で売られていたからという説がある他、戦後間もなく、まだタピオカ粉を製造していなかったタイでは、シンガポールやマレーシアから輸入した粉で作っていたので、ロッチョンシンガポールとよぶようになったという原材料由来説もあるようです。

タピオカ粉をこねてゆでたシンガポールは、ココナッツミルクと混ぜておいてもそうそう溶けませんが、米粉ベースのタイはそうはいきません。そのつど、シロップをかけてクラッシュアイスをのせて供されます。

先日、この砕いた氷の大きさがおいしさを左右するという意見を聞いて、なるほどとうなずきました。濃厚シロップが口中で氷と混じりあってほどよい加減になるのですから、氷のサイズもないがしろにできません。

※芋類やカボチャ、くだものなどの煮くずれを防ぐためにも用いられている。
文・写真/ムシカシントーン小河修子
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