タイのお菓子は二度おいしい
連載
93
ガロージー

揚げ焼きしたもち粉のお餅に
ゴマ砂糖たっぷり
ガロージーกะลอจี๊の表面はこんがりしていて香ばしい
初めて食べたのはサイアムスクエアの露店でした。香ばしく揚げ焼きした餅の表面はきつね色で、ところどころにできた焦茶の部分はザクっとした歯触り。ゴマ砂糖が入った容器の上で、黄金色のお月様のような餅にハサミを入れて不揃いな三角形に切り、ゴマ砂糖をたっぷりとまぶしてくれました。

餅といっても、もち米粉製で白玉のようなものだから、伸びがいいお正月の餅とはちがってむっちりした食感。白くむちむちとした切り口にゴマと砂糖がたっぷりからまるので、ある程度厚みがあるほうがおいしい。あの露店の年配の女主人の手つきと、焼き上がりを待つ待ち遠しさは数十年も前のことながら、今も鮮やかに思い出されます。

菜食週間「齋」で賑わう時期に、中国系タイ人の多い地域で久しぶりに見つけて、迷うことなく購入したのが写真の厚みの足りないガロージーです。「最近は売る人が少なくなりました」と若い店主。作り方を尋ねると、もち米粉を少量の水でこねた後に熱湯を少しずつ足しながらさらにこね、直径10センチ程度の円盤形に整えて、ゆでてから揚げ焼きするとのことでした。
 
揚げたてをハサミで切ってゴマ砂糖をからめたら
アツアツをどうぞ
中国系タイ人、特に潮州系にとっては、幼い子どもを危険から護ってくれるアープアという神様の誕生日である7月7日のお菓子なのだとか。他にも中国正月(今年は1月29日)や祖霊を供養する盂蘭盆会サートジーンなどのときに食される餅菓子だそうです。

ガロージーは中国語では膠羅錢、落湯錢。中国版のレシピ動画を見ると、ドーナツ形に作り熱湯に落としてゆでていました。真ん中に穴の空いたお金にみたてて命名されたのかもしれませんね。

もち粉(白玉粉でも可)をこねてゆで(あるいは蒸す)、水気をきって油をひいたバットにいれておき、フライパンで多めの油で焼くだけなので、自宅でも簡単に作ることができそうです。
文・写真/ムシカシントーン小河修子
Copyright © Japanese Association in Thailand. All Rights Reserved.