カオマオトートข้าวเม่วทอดはグルアイカイという小ぶりでなめらかなバナナで作り、後方の揚げバナナ、グルアイトート(グルアイケーク)はグルアイナムワーが用いられる
百科事典(※)によるとタイのバナナは観賞用と野生種とを加えると品種は71種(海外から輸入されたものは含まれていない)。さすがに種類豊富ですが、日常的に食卓にのぼるのはだいたい5種類で、日本でお馴染みのバナナと同じタイプのグルアイホーム、太く短めで角ばっているグルアイナムワー、小ぶりでレモン色のグルアイカイ、先がとがってほっそりしているグルアイレップムーナーン、加熱調理がメインのグルアイハックムックでしょうか。また包んだり敷いたりする材料として市場で売られているバナナの葉は、おもにグルアイターニーという種類です。バナナのお菓子も実に多彩な上、お菓子ごとに種類も熟し具合も異なるというのですから、さすがバナナを知り尽くした国の民。数あるバナナ菓子の中でもポピュラーな揚げバナナのグルアイトートは衣をつけてカリッと揚げたシンプルなおやつですが、今回ご紹介するカオマオトートは同じ揚げバナナでもひと手間かかるスイーツ。そのせいか、屋台を探してみて、作り手が少なくなっていることを実感しました。カオマオトートは若いもち米カオマオを炒ったものに削ったココナッツの実とココナッツシュガーなどを混ぜ合わせて丸ごと1本のバナナを包み、うるち米粉の衣をつけて揚げたお菓子。バナナはなめらかで甘味のある熟したグルアイカイに決まっています。ザクッとした衣の下におはぎのようにねっとりしたお米の層、その中から熱々のとろけるバナナが現れ、ひとつで満腹、ボリューム満点。
改めて調べてみると、カオマオは刈り入れには少し早い完熟前のもち米で、地域にもよりますが、雨季の終わりの出安居あたりから収穫されることが多いそうです。若緑色なのは葉緑素が残っているためで、完熟していれば普通の玄米です。米粒が扁平なのは籾を搗いて籾殻を取り除く作業によるもので、その過程で平たくなると生産農家から聞いたことがありました。カオマオのお菓子といえば、炒っておこしにしたグラヤーサート、揚げてあられにしたカオマオミー、蒸して砂糖をかけたカオマオクルックなど、どれもお米の国タイに伝わる昔ながらのおやつです。
※ สารานุกรมไทยสำหรับเยาวชน เล่ม๑๐
カオマオの緑色は葉緑素が残っているため。薄い茶系のカオマオもあります